「SES」という言葉を知っていますか?
IT業界で働いたことのある方なら知っている方も多いでしょう。
しかし、詳しく説明できる方はさほど多くはありません。
これからIT業界で働きたいと考えている方には、「SES」をしっかりと理解してほしい言葉です。
しかし、一部のエンジニアからは評判があまり良くありません。
その理由は一体なぜでしょうか?
この記事では、実際に「SES」で働いたことのある著者が、SESの契約形態からメリットやデメリット、そして評判の実態まで、できるだけ分かり易く解説していきます。
SESとは
IT企業で働きたいと思って求人を検索すると、事業内容に「SES事業」と書かれていたことはありませんか?
「SES」で何?どんなことするの?
【SES】‥IT業界の働き方の一つ。「システム・エンジニアリング・サービス(System Engineering Service)」の略称
IT業界はアルファベットでの略語が多くて、正式名称を知らなければ何のことかイメージが湧きにくいですよね。
では、そのSESという働き方とは一体どういうものなのか、順を追って見ていきましょう。
技術者を派遣し技術を提供するサービス
SESとは簡単に説明すると、クライアントにエンジニアを派遣して、その技術を提供するサービスになります。
クライアントは作業時間に対しての報酬を支払う契約です。
具体例として、新人エンジニアがSESの契約で働くまでの流れを見てみましょう。
- 一生懸命勉強してプログラミング言語「Swift」を習得
- 就活の末、晴れて「SES事業」を行うIT企業に就職
- クライアントが「Swift」でシステム開発を行うためエンジニアを募集
- エンジニアとクライアントでマッチング!
- SES契約を結び、クライアント企業先でエンジニアデビュー!
三者間がこの働き方を理解して契約が行われれば、Win-Win-Winの関係が成り立ちます。
- エンジニア…得意な技術を活かして働くことができる
- クライアント…エンジニアの育成が不要で開発を進めることができる
- ベンダー…報酬を得ることができる
SESの契約形態について
SESはクライアントに技術者を派遣することです。
その際にクライアント(サービスを受ける企業)とベンダー(サービスを提供する企業)で、契約を結ぶことになります。
契約形態の種類はいくつかあります。
それでは、他にどのような契約形態があるのか説明していきましょう。
IT業界の契約形態は、大きく分けて下記の2種類があります。
- 業務委託契約➡︎ベンダー側に指揮命令権がある
- 派遣契約➡︎クライアント側に指揮命令権がある
さらに、「業務委託契約」には下記の2種類があります。
- 請負契約➡︎仕事に対する完成義務がある。
※成果物に対して報酬が支払われます。 - SES契約(準委任契約)➡︎仕事に対する完成義務がない。
※エンジニアが働いた時間に対して報酬が支払われます。
SESは準委任契約
「SES契約」と「準委任契約」は名称が異なるだけで、契約の内容は同じになります。
同じ意味なのになぜ名称が異なるのでしょうか?
何と言っても正式名称は「システム・エンジニアリング・サービス」ですからね。 一方で「準委任契約」は他の業界でも使われます。 また、準の付かない「委任契約」というのも存在しています。 「委任契約」は法律行為を扱う契約なので、弁護士等との契約に使われ、IT業界では使用されない契約です。 そこで、IT業界では「準委任契約」のことを、分かり易く言い換えた「SES契約」と呼んでいるんですね。 SESの基本的な内容や契約形態を学んだところで、気になるメリット・デメリットに関しての説明に入ります。 まずは、SESで得られるメリットから把握していきましょう! SESはクライアント先に常駐して業務を行います。 そのため、一つの案件が完了すれば、次の案件ではまた違うクライアント先に行くことになります。 このように次々とシステム開発を行っていくことにより、さまざまな企業やプロジェクトに関わることができます。 また、自分の全く知らなかった業界の知識も付けることができるので、仕事の幅を広げることにも期待できます。 SESの働き方は、案件の度にクライアント企業が変わります。 クライアント企業はもちろんのこと、他の企業のSES契約しているエンジニアとも関わることがあるためです。 案件次第では、大手企業や有名企業とのコネクションもできるかもしれません。 また、そこでできたコネクションを通じて、新しい案件を頂いたり、クライアント企業に正社員として誘われたりなんてこともあります。 エンジニアとしての繋がりを広げておくことで、将来の助けになることもありますので、積極的にコネクションを築いていきましょう! SESはシステム開発が完了していなくても、責任を問われる契約ではありません。 そのため、納期に追い詰められ、無理な残業でストレスを抱えたり、それにより体調を崩すなんてことも少ないです。 だからといって、適当な仕事をしても良いということではないので、与えられた仕事はきっちり行いましょう。
SESのメリット
さまざまな企業でプロジェクトの経験ができ、スキルアップに繋がる
エンジニアとして多くのコネクションを築ける
システム開発の完成義務がないため、ストレスは軽減される
ただ、納期のある仕事と比較すると、精神面ではかなり楽なのは確かです。
SESのデメリット
それでは、メリットの次はデメリットの説明になります。
メリットだけではなく、SESにはどんなデメリットがあるかよく把握してください!
収入が低い傾向にある
SES企業のエンジニアは、自社開発の企業のエンジニアより給料は低い傾向にあります。
なぜ、給料が安いのですか?
SESでは「人月単価」でクライアントと報酬の契約が結ばれます。
例えば「人月単価50万円」であれば、その人が一月働くときに、クライアントが支払う金額は50万円ということになります。
この金額からベンダーが諸経費を引き、エンジニアの給料となりますので、人月単価より高い給料は望めません。
そのため、同じ内容の仕事をしていても正社員SEより給料が安くなります。
また、SESはクライアント先で仕事をするため、自社からの評価をするのが難しく、なかなか給料が上がらないということもあります。
- クライアント先が大企業で、同じ内容の仕事をしたとしても、クライアント先の正社員SEより低い傾向
- 自社からの評価を得るのが難しく、昇給が難しい
人間関係に悩むかも
SESは案件の度にクライアント先が変わることが多いです。
そのため、新しい案件ごとに一から人間関係を構築していかなければなりません。
新規の案件であれば、馴染むのも早いかもしれませんが、途中から引き継ぎで案件を受けることもあります。
その場合、すでにできあがっている人間関係の中には、入って行きにくく、悩む可能性があります。
また、SESはクライアント先に常駐して仕事をしているため、雇用元である自社にあまり出勤しません。
月に一回とかその程度です。
そのため、自社でもあまり深く人間関係を築くのが難しく、関係が希薄になっていく場合もあります。
人間関係を築くのが苦手な人は、注意したほうがいいですね。
大きな達成感を味わえないかも
システム開発を行う上で、一番達成感を感じる時は「システムが完成した時」ではないでしょうか?
SESは、このシステム完成の場に立ち会えないことが多くあります。
特に大企業がクライアント先の場合は、システム開発は長期の場合が多く、自分が任された一部分の業務が終わると契約が終了してしまいます。
そのため、エンジニアの中には達成感を得ることができず、モチベーションを保てないという人もいます。
自分の開発したシステムを、最後まで見たいという人には、この働き方は向いていないのかもしれません。
SESの実情、評判
SES事業を行っているIT企業は非常に多いです。
多くの企業が関わりのあるSESですが、批判や疑問視する声が多くありますその理由はどこにあるのでしょうか?
これは一体どういうことなのか、SESの実態を見てみましょう!
案件により「アタリ」「ハズレ」がある
SESはクライアント先の仕事内容や環境で当たり外れがあります。
ベンダーとしては、エンジニアの得意分野を考慮して、クライアント先を選んでいます。
しかし、都合よくそういった案件が無い場合もあります。
そのため、エンジニアが望んでいない案件でも受けることになります。
- 「アタリ」案件であれば、テストからシステム開発まで一通り経験させてくれ、スキルアップに繋がります。
- 「ハズレ」案件の場合は、テストだけをずっとやらされたり、資料作成だけの雑務だけの作業をやらされ、スキルアップは望めません。
こういうハズレの経験をしている人から見れば、SESの働き方に批判をしてしまっても仕方ないですね。
合法的な多重派遣が可能
SES契約と派遣契約は「客先に常駐して作業する」という点は同じですが、契約形態は違います。
しかし、派遣とは契約形態が違うSESでは、上記のことが多重派遣にあたらずにできてしまいます。
よくあるIT企業での合法的な多重派遣を解説します。
大手企業のA社が、大規模なシステム開発を行うため、エンジニアを100人募集したとします。
- 中堅企業のB社が、手を挙げましたが、B社のエンジニアは70人しかいないため足りません。
- そこで、B社はパートナー関係である、中小企業のC社に声を掛けます。
- 中小企業のC社は、SES契約でB社に30人のエンジニアを派遣します。
- そして、B社は予定通り、A社に100人のエンジニアを派遣することができました。
大きい案件でのシステム開発では、このようなことがよくあります
上記は二次請けのC社までですが、さらに三次請け、四次請けと続く場合もあります。
合法ではありますが、エンジニアの環境も悪くなるので、よくありませんね。
SESはクライアントにとってメリットが多い
システム開発において、必要なタイミングで適切な人材を提供できるSESは、クライアントにとってメリットが多いです。
- 新たにエンジニアを雇用しなくても、技術力のある即戦力が手に入る
- プロジェクトが終わったあとに人員がダブつくことがない
システム開発は、作る時には大量のエンジニアが必要になるかもしれません。
その時に、全て自社の人員で開発を行おうとしたり、そのためにエンジニアを新たに雇うようなことは現実的ではありません。
また、実際にエンジニアがいたとしても、必要な技術を持っていなくて、新たに習得するまでに大量の時間が必要になるかもしれません。
そして、一度作成が完了してしまえば、保守や運用のフェーズに切り替わるため、大量のエンジニアは必要なくなります
SESはベンダーにとってもメリットがある
SESを供給する側のベンダーにもメリットがあります。
ベンダーのメリット
- ビジネスモデルが分かり易い点
- 低コストで事業が可能
SES事業は、クライアントとエンジニアの橋渡しが主な仕事です。
エンジニアが所属さえしてくれれば成り立ちます。
また、ベンダー企業の社員は、クライアント先に常駐するため、社員分のデスクやPCを設置する必要がありません。
SESと派遣契約との違い
SESと派遣契約は、どちらもクライアント先の企業に技術者を派遣することから、とても似たような契約だと思われることが多いです。
しかし、決定的に違う箇所が一点あります。
契約による「指揮命令権」の違い
【SES契約】
- ベンダー企業(雇用元)に指揮命令権がある
【派遣契約】
- クライアント企業(派遣先)に指揮命令権がある
とても重要です。
業務の指揮・命令権が異なる
「指揮命令権」とは、作業現場での業務上の指示はもちろんのこと、休日出勤や残業などの指示も含まれます。
例えば、SES契約でクライアント企業で働いているとします。
クライアント側から残業を指示されたとしましょう。
また、このようにSES契約のエンジニアに対して、クライアント企業が直接指示を出すのは、違法行為です。
まとめ
SESという働き方は、IT業界の中では一般的なものです。
そのため、批判があってもなくならずに、IT業界でSES事業を行っている企業が多いのでしょう。
その一方で、エンジニアにとっては、メリット・デメリットがある難しい働き方になります。
ただ、その中でも実績を積んで、人月単価も高い、優秀なエンジニアはたくさんいます。
優秀なエンジニアになるための絶対条件は「スキルが高い」ことです。
独学で学ぶのも良いと思いますが、プログラミングスクールで効率よく勉強するのが、優秀なエンジニアへの第一歩です。
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